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LESS is MORE ! ― 2018年新作×トレンド ―前編

2018.06.11 / tokyo

トレンドってどうやって生まれるの??

ファッションやインテリア誌で必ず特集される「今年のトレンド」。
一体それって誰が決めているんだ!と疑問に思った方も少なくないのでは。。

マナトレーディングInstagramより

今年のインテリアの特徴は、ミラノサローネでも大きな話題となり、
4月に発売された「ELLE DÉCOR」の表紙を飾ったデザインデュオ
スタジオpepeの空間構成がまさに象徴的といえるでしょう。

studiopepe official Instagramより

幾何学的なアイコンを空間に大胆に取り入れ、
カラーはマットで柔らかなペールトーンをベースに、
深みのあるカラーやゴールドをアクセントに使用することで
空間により立体的でリズミカルなコンポジションを生み出しています。

studiopepe official Instagramより

さて、今年のインテリア界のトレンドはあるムーブメントが発端になっているようです。
1919年に開校し現在のモダニズム建築やアートに多大な影響を与えた
ドイツのバウハウスが2019年に設立100周年を迎えるにあたり、
その創立者であるグロピウスやミース・ファンデル・ローエが提唱した構成主義を
現代的な観点から再解釈したユニークなデザインが盛り上がりを見せています。

 

Less Is More. :より少ないことは、より豊かなこと。

これは「本当のモダンとは何か」を追求したミースが最後にたどり着いた答えでした。
シンプルでありながらもエレガントで人を飽きさせない。
球・三角・四角、曲線の柔らかさ・力強く洗練された直線といった造形が生み出すリズム、
そして素材のもつ温度と色が感情に与える効果。

これらの無限の組合せを極限まで研ぎ澄ませること。
そこに究極のデザインである事を、
ミースはバルセロナオリンピックで設計したドイツパヴィリオンで証明しました。


RUBELLI 『IN TECHNICOLOR』
イタリアのRUBELLI(ルベリ)の新作は、ルベリならではの気品のある
クラシックな織りの花柄と今年のトレンドを意識したニュートラルから
ビビットなカラーまで豊富なカラーバリエーションが特徴です。
コレクションのイメージショットからもやはり、
空間全体のコンポジションを意識したコーディネートが伺えます。

 
RUBELLI 『IN TECHNICOLOR』
ティファニーブルーやライムなど明度の高い色をよりエレガントに使いこなすのが
今年のルベリのイチオシ。
コンテンポラリーな空間の中にあえて深みのあるクラシックなデザインを
スパイスとして取り入れるのが、粋なイタリアらしいコーディネートですね。

HARLEQUIN 『ENTITY』
こちらはイギリスのHARLEQUIN(ハーレクイン)から発売された、『ENTITY』。
同じくバウハウスで教鞭をとったパウル・クレーやカンディンスキーの絵画を
オマージュしたかのようなコンテンポラリーなデザインが目を引きます。


HARLEQUIN『ZAPARA』
さらにハーレクインから発表されたもう一つのコレクション『ZAPARA』では
南米の動植物や民族的なモチーフをイキイキとしたタッチで表現しています。

じつはこのようなトライバル柄も今年のトレンドの重要なキーワードなのです。

次回の東京ショールームブログは2018年新作コレクション紹介の後編!
もうひとつのキーワードについてご紹介します。

春のディスプレイ

2018.04.10 / osaka

新作の入荷にともない、
ショールームのディスプレイを新しくいたしました。


RUBELLI(ルベリ) 「Funny Girl」30255-7
オリエンタルな花柄のデザインと鮮やかなティファニーブルーが
上品でエレガントなドレープ。


RUBELLI 左:「Ming」30254-1 右:「Goldfinger」30251-6
ルベリが毎年作るシルクのジャガード織。昨年は鮮やかなターコイズとグリーンの組み合わせでした。
こちらよりご覧いただけます。)
今年は、18世紀頃のシノワズリのトワレ柄から表現されたデザインをホワイトで、
優雅な花柄のドレープはピンクをセレクトし、優しい雰囲気にイメージチェンジしました。

 


OSBORNE&LITTLE(オズボーンアンドリトル)
背面:「Vernazza」W7217-03
右パネル:「Palmaria」W7210-04
左パネル:「Cervo」W7211-01
イタリアのRiviera(リビエラ)がインスピレーションとなった『MANAROLA』コレクションより、
トロピカルな葉っぱやヤシの木、タイル調のデザインをセレクトしました。
ゴールドを使った色を選び、イメージは大人のリゾート風に。

ショールームを外から見たウィンドウ面のカーテンも吊り変えています。
ぜひチェックしてみてくださいね。

【The Story】vol.5 ジム・トンプソン(後編)

2018.02.14 / tokyo

昨年9月より6回にわたり毎回ひとりの人物を取り上げ、ブランドにまつわるストーリーを
東京・大阪・名古屋のショールームブログよりリレー形式でお届けしています。

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【The Story】第5回目後編は、“Jim Thompson (ジム・トンプソン)”
現在このブランドを支えるふたりの若きクリエイターたちのお話。

◆Jim Thompson―Ou Baholyodhin(ウー・バホリヨディン)―

こちらのビシッときめた男性はOu Baholyodhin(ウー・バホリヨディン)。
現在ジム・トンプソン社のクリエイティブディレクターを務めています。

1966年にタイ・バンコクで生まれ、ロンドン大学では建築学を専攻、
その後、フィレンツェでテキスタイルを、英キングストン大学にて家具・プロダクトデザインを習得。

卒業後はロンドンで家具デザインのスタジオを構えると同時に、国際的なコンペティションで次々と賞を受賞するなど、
デザイナーとしてのキャリアを華々しくスタートさせます。

ちょうどそんな時期、インテリアデザインコンサルタントとして携わったプロジェクトがジム・トンプソン社のもので、
展示会の家具・デザイン・ブランディング・マーケティングをコンサルタントとして統括するポジションに従事しました。

2013年からはジム・トンプソン社のホームファニシング部門のクリエイティブディレクターに就任しますが、
バホリヨディンは、自らをテキスタイルデザイナーとは考えていません。
多くの優れたデザイナーがそうであったように、自分が受けた(または見る側に与えたい)インスピレーションを
どう表現するかに、特定の媒体を必要とはしていないからです。
つまり、重要なのはどのようにファブリックが使われるのかという最終スキームを把握すること。

Instagram@jimthompsonfabrics

2016年の来日インタビューでも、デザインすることについてこのように語っています。
「家具からインテリア、商業施設のデザインやパーティ、テーブルウェアまでさまざまな手段をとおして
デザインを創造することの変化と実験は、とてもエキサイティングな作業なんだよ!」

そんなバホリヨディンのデザインはタイの精神性と西洋のエッセンスを融合させたリッチで上品なデザインが魅力。
それはまるでジム・トンプソンが現代に甦ったような感動を覚えます。
 
2014年「Arun」
熱帯性気候のタイでは雨季になると、ひと月の半分が雨になります。
ひとたびスコールが来れば人々はそれぞれの家屋に戻り、動物たちは大きく茂った木陰に身を潜ませ、
人も動物たちもただ 熱帯雨林に降り注ぐ雨の音と雷の轟きに耳を澄ませる静寂の世界。

そこには自然への畏敬、仏教における調和の世界が生まれます。


2017年『Floriental』コレクション                2012年『Spotlight』コレクション

やがて長く静かな雨季が明ければ、喜びの収穫期が訪れます。
絢爛の仏教寺院や宮廷に供えられる色とりどりの果実に、色鮮やかな絹で着飾られた仏僧や仏像たち。
市街には色が溢れていたことでしょう。
そんな陰と陽が織りなす伝統の中に生きる、色やモチーフを大胆に取り入れ、
常にその時代にフィットした絶妙なバランスで見事なデザインに仕上げるのがバホリヨディンの流儀。
それはかつてトンプソンがタイを訪れ初めて目にした光景の感動をそのまま、現在に再現させたかのようです。

 
2017年『Floriental』コレクション

そんなバホリヨディン率いる2018年新作コレクションは、『EVERY COLOUR UNDER THE SUN』。
タイシルク商会でシルクの販売を始めてから60周年という節目の年にちなんで、改めてシルクの美しさを再認識し、
これまで以上にジム・トンプソン氏への敬意を込めたコレクションに仕上がっているのだそう。

 
『EVERY COLOUR UNDER THE SUN』コレクション    『Bardo』コレクション「Sagano」

そして2018年の新作で注目すべきはベルギーの素晴らしいデザイナーであり、「色の魔術師」との異名をもつ
Gert Voorjans(ガート・ボージャン)とのコラボレート作品!
これまでのジム・トンプソンのデザインにはなかったような新たな世界観を展開しています。


Instagram@jimthompsonfabricsより

同郷のファッションブランド、ドリス・ヴァン・ノッテンの旗艦店のデザインを手掛けるなど、
インテリアデザイナーとして世界的に活躍するボージャンと、バホリヨディンは長年の友人だそう。
ボージャンのどこかゴシックでアーティスティックなデザインと、
オリエンタルなジム・トンプソンが織り成す化学反応をぜひお楽しみください。(※1)

 
「Melusine」3689/03             「Aeneas」3683/01

◆ No.9 Thompson ―Richard Smith リチャード・スミス―

続いては相棒とのツーショットが癒されるこちらの男性。
No.9 Thompson(ナンバーナイン・トンプソン) のクリエイティブディレクター
Richard Smith (リチャード・スミス)です。

2006年から発売されたジム・トンプソンのもう一つの顔、No.9は
2015年のイギリスのインテリア誌「House & Garden」のファブリックアワードを受賞するほか、
2016年には先日も開催されたばかりのパリ デコオフにてベストコレクションを受賞し、
現在世界から注目を集めるブランドのひとつに成長しています。

 
2014年『Butterfly House』コレクションより    No.9 Thompson HP 

リチャード・スミスのデザインの多くは彼のデッザンやハンドペイントから生み出されます。
イギリスのサセックスにある海を臨む開放的なスタジオで描かれる水彩のペイントは、
まるで乾いた海風を待ち受けるかのような、軽く柔らかなコットンやリネン地にプリントされます。

そのデザインのモチーフは南はアフリカ・ブラジルから、北はスカンジナビアンデザインまで、
世界中の古くから伝わる伝統的な文様や、文化からインスピレーションを得ています。

 
2015年「Dragon Dance」
こちらを見据えて威嚇するドラゴンは、リチャード・スミスの優しいタッチと色使いでどこか愛嬌のあるキャラクターに。


2016年に発表した『OBI』、『ORIGAMI』コレクションはその名のとおり日本がモチーフになっています。
川端に咲くアヤメをデザインしたこちらの「Water Garden」は、尾形光琳の「八橋図屏風」へのオマージュでしょうか。

そしてもうひとつ特筆すべきは、アウトドアコレクション(※2)の豊富さです。
ジム・トンプソン社ではかつてトンプソンの理念であったように、これまでにない生地の研究開発に力を入れていました。
特にタイというその気候柄、対候性とデザイン性優れる生地の開発はトンプソンが生きていれば、
情熱をかけて取り組んでいたテーマでしょう。

2012年の発売からこれまで5種類のコレクションが発売されています。

 
2015年『Fez outdoor』コレクション      2017年『Colourfield outdoor』コレクション

今季発売されるコレクションでもアウトドア仕様の生地はもちろん、地中海の色彩やローマの古代遺産からのモチーフを
デザインに取り入れた爽やかな2つのコレクションが発表されます。
早くも今年の夏が待ち遠しくなるような、リゾート風のコーディネーションにぴったりなコレクションとなりそうですね。

 
2018年『Aegeus』コレクション

2018年『Surf’s Up outdoor』コレクション
さて、ジム・トンプソンの意思を引き継ぎつつ、現在の彼らにしかできない手法で、新しい”ジム・トンプソン”の一面を
展開しているウー・バホリヨディンとリチャード・スミス。
トンプソンが生きていたらこの2人のデザイナーをどう評するでしょうか。
なかなか面白いことをやっているじゃないか! そう笑顔で答えてくれるはずです。
過去そして新しい挑戦へと、60周年を超えてますます目が離せないジム・トンプソンに、どうぞご期待ください!


「わしも一緒に作りたい・・・」

 

※1 ジム・トンプソン、ナンバーナイン・トンプソン2018年コレクションは日本未発売です。
発売時期についてはHPにてご確認下さい。
※2 ここでご紹介したアウトドア生地とは組成における対候性を指しており、
撥水効果についてはその範囲でありません。

【The Story】vol.1 ウィリアム・モリス
【The Story】vol.2 ニナ・キャンベル
【The Story】vol.3 マシュー・ウィリアムソン
【The Story】vol.4 パオラ・ナヴォーネ(前編)
【The Story】vol.4 パオラ・ナヴォーネ(後編)
【The Story】vol.5 ジム・トンプソン(前編)

【The Story】vol.5 ジム・トンプソン(前編)

2018.02.01 / tokyo

昨年9月より6回にわたり毎回ひとりの人物を取り上げ、ブランドにまつわるストーリーを
東京・大阪・名古屋のショールームブログよりリレー形式でお届けしています。

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【The Story】第5回目は、タイシルクの代名詞ともいえる“Jim Thompson (ジム・トンプソン)”から、
William Morris (モリス)と並んでファブリックの歴史に名を残す偉人の人生と、
現在のブランドを支える二人の若きクリエイターたちのお話。
今回は前編、ジム・トンプソンその人をご紹介します。

◆JIM THOMPSON ジム・トンプソン


タイへ旅行に行かれた方なら、一度ならずとこのブランドの名前を耳にした事があるでしょう。
ジム・トンプソンの美しいシルクのネクタイやスカーフはタイ土産の定番ですし、
建築家でもあったトンプソンがバンコクに建てたジム・トンプソン・ハウス(現在はミュージアム)を、
ツアーの工程で訪れた方も多いのではないでしょうか。


ジム・トンプソン(本名:James Harrison Willson Thompson)は1906年アメリカの裕福な家庭で生まれました。
プリンストン大学にて建築を学んだのち、新進気鋭の建築家としてNYを拠点に活躍します。
トンプソンは当時より関心を持っていたバレエのステージデザインや衣装の仕事をきっかけに、
インテリアデザイン、ファッション、ショービジネス、アート、メディアの世界での人脈を増やしていきます。

そんな順風満帆に思えた矢先、第二次世界大戦が勃発。
トンプソンは志願兵として入隊。現在のCIAの前身であるOSSに所属しタイ潜入指令の任にあたります。

このタイの地がトンプソンの人生を大きく転換させる舞台となりました。


悠然と流れるチャオプラヤ河、うっそうと茂るジャングルの奥地に静かにそびえる古代の仏塔や寺院たち。
そして力強くも、繊細な彫刻が施される美しいクメール美術の数々。
トンプソンは一目でこの地に魅了されました。
終戦後、彼は建築家としてバンコクの老舗ホテル、
オリエンタルホテル(現:マンダリン・オリエンタル・バンコク)の再建に尽力します。


 (トンプソンが商談で使用していたオリエンタルホテル内の「オーサーズ・ラウンジ」。
 明るく開放的な空間にジム・トンプソン社の張地で仕立てたコロニアルスタイルのインテリアがよく映えます。)

この時出会ったのが、衰退の一途を辿っていたタイシルクでした。

20世紀初頭に入るとタイの人々の生活様式の変化や外国からの安い絹織物などの流入を受け、
トンプソンが訪れた当時、バンコクではわずか数軒の家族が絹織物生産を続けていたのみと言われています。


トンプソンのタイの伝統文化・美術への敬意が、クメールの女神を微笑ませたのか
このシルクと出会ってわずか5年で、彼はタイシルクの国際的な地位を確立していきます。


1947年。トンプソンは早速、この魔法のように美しいシルクの見本を抱えて、NYに舞い戻ります。
エメラルドグリーンとマゼンダ、ターコイズブルーとショッキングピンクなど、
エキゾチックで魅惑的な色の組合せは、トンプソンの狙い通りNYの人々を魅了していきました。
NYで築いた人脈を通してタイシルクの評判はたちまち広がり、
ファッションの権威でもあるヴォーグ誌の当時の編集長エドナ・ウルマン・チェイスの称賛を勝ち取ることとなります。

翌年、トンプソンは「タイシルク商会」を設立。
1951年にはまるで成功の道が用意されていたかのように、
シャム国(現:タイ王国)を舞台にしたブロードウェイミュージカル「王様と私」が初演を迎え、
衣装提供をしたタイシルク商会は、ミュージカルの大ヒットと共に一躍タイシルクの名を世界に広めました。

ジム・トンプソンがシルク王といわれる所以は、
タイシルクに着目し世界一流のブランドに登りつめたデザイナーとしてのセンス、
そして養蚕から紡績、織りの作業と伝統的な人の手による技と西洋の技術的革新を融合させ、
地域産業として復興させた実業家としての手腕によるところが大きいでしょう。


現在でもその手法は変わりません。
数千もの家族経営の農場の協力と、自然の中の広大な敷地で
農場・工場・デザインスタジオ・そして研究開発、全ての工程を自社で手掛けています。
その規模はなんと445ヘクタール以上!
ここまで一貫した生産を行っているのは、世界でもジム・トンプソン社だけと言われています。

それは徹底した品質管理、全てのプロセスに必要な専門知識を統合してこれまでに無いファブリックを開発すること、
そして、地元の農家の伝統的な生計手段、文化、尊厳を維持することを目的としているからです。

トンプソンは西洋のファッションやインテリアにも使いやすいコンテンポラリーなデザインや配色を心掛け、
色落ちしない工夫や最新のプリントを技術を導入することで、今までにないタイシルクを開発することに成功しました。
それと共にタイの伝統的絵画やクメール美術に残された優美な柄や色使いを積極的に取り入れています。

妥協なき美の追究とタイの人々と自然との共生は、彼の揺るぎなき信念といえましょう。

さて事業の拡大と共に日々多忙を極めるトンプソンでしたが、
休日の趣味はもっぱら古い寺院を散策することでした。
同様に古美術品の収集家でもあった彼は、自宅にも国宝級の美術品を飾っていたそうですが、
「タイの物はタイに」という思想から、収集したものは全てタイ政府に引き渡すよう遺言に残しています。
タイの芸術を心から楽しみ、敬愛していたことが伺えるエピソードですね。

そんなコレクションの中でも特にお気に入りの絵画がありました。

「Weaving Scene」
生地を織る工程を描いたこの絵は長い間、ジム・トンプソン社のシンボルデザインとして使われてきました。
ここに描かれているのは、まさにトンプソンの夢見た桃源郷そのもの。
かつて戦争の、破壊の最前線にいた彼は、伝統が守られていく事の難しさと尊さを、
その身をもって知っていたことでしょう。
トンプソンが中世のこの風景・文化が復興したことの喜びと、継承していかなければならない矜持をもって
この絵を眺めていたことは想像に難くありません。

さて、その後も映画「ベン・ハー」などハリウッドへの衣装提供や、
タイ王国への貢献を讃えた「白象勲章」の授与、インテリアファブリックへの進出等、
精力的に活動の場を広げていきます。

ところが、その活躍にある日突然ピリオドが打たれます。

1967年3月26日。
イースター休暇でマレーシアの高原へ友人たちと訪れていたトンプソンは、
ディナーまでの空き時間にふらっと散歩へ出かけ、そのまま消息を絶ったのです。

彼はなぜ、そしてどこへ消えてしまったのでしょう。

CIAとして活動していた経歴から政治的陰謀による誘拐説、先住民による捕縛説、
密林でトラに襲われた説、自作自演説・・・等
密林に消えたミステリーとして、消息を絶った当時、莫大な懸賞金と共にさまざまな憶測が瞬く間に世界中に広まりました。

なんてドラマチックでミステリアスな人生!

この物語に魅了されたひとりに小説家松本清張がいます。
彼はトンプソンが失踪したキャメロンハイランドを舞台に、
トンプソンをモデルにしたアメリカ人実業家の失踪劇と日本で起きた殺人事件を
巧妙に絡めた推理小説「熱い絹」を執筆しました。
主人公と共に事件の真相を追いながら、トンプソンが過ごした当時のタイ、マレーシアに広がる
密林や発展途上の街の風景と、失踪における清張の推論を伺い知ることが出来ます。
興味のある方はぜひこちらも読んでみては。

まるでアンリ・ルソーの「夢」のように、
密林に潜む更なる美しい「何か」に導かれるかのように姿を消したジム・トンプソンは、
今でもその美を追い続けているのかもしれませんね。

 

さてそれから45年―。
2012年ジム・トンプソン社は新しく発売する壁紙コレクションの第1作目としてこちらのデザインを発表しました。

「Jim’s Dream」

トンプソンが愛した「Weaving Scean」のモチーフを再構成し、
年月を重ねた壁画調のデザインが現代のモダンなインテリアにも馴染む上品で美しい作品のひとつ。
これは、ブランドが若きクリエイターたちによってトンプソンの意思が引継がれ、
新しい段階に突入したことを物語っていると言えます。

トンプソンなき現在、彼が築き上げたタイシルク商会は現在2人のデザイナーが
クリエイティブディレクターとしてその手腕を振るっています。

次回はこのふたりについてご紹介していきましょう。

 

【The Story】vol.1 ウィリアム・モリス
【The Story】vol.2 ニナ・キャンベル
【The Story】vol.3 マシュー・ウィリアムソン
【The Story】vol.4 パオラ・ナヴォーネ(前編)
【The Story】vol.4 パオラ・ナヴォーネ(後編)

アーキテクチュアル・デザイン

2017.12.13 / osaka

先月、スタッフ数名で愛知県犬山市にある
博物館 明治村を訪れました。

当日はお天気にも恵まれて、ちょうど紅葉が美しい季節でした。

広大な敷地に、明治時代に建てられた重要文化財を含む建造物が
移築、展示されている屋外博物館「明治村」。
職業柄、洋館の窓にかかっているカーテンの生地やスタイルなどは注目してしまうのですが、
[三重県庁舎]のカーテンは建物の雰囲気に合っていて素敵でした。

中でも私たちが最も時間をかけて見学したのは、[帝国ホテル中央玄関]でした。
20世紀を代表する建築家フランク・ロイド・ライトの手がけた外観は、
大谷石と煉瓦で造られ、重厚感のある佇まいが印象的でした。
中に入ると、大谷石の柱からもれるあたたかな光と、
大きな窓から差し込む光が神秘的な落ち着いた空間が広がります。
 
石や煉瓦には幾何学的なデザインの彫刻がされていて、
細部まで美しい装飾に思わず釘付けになってしまいました。

建築といえば…HARLEQUIN(ハーレクイン)から今秋、
デザインに建築の要素を取り入れたコレクション『ENTITY』が発売になりました。
建築をテキスタイルに取り入れた“アーキテクチュアル・ファッション”がコンセプトで、
さまざまな幾何学柄が揃っています。

壁紙:Geodesic
不揃いな三角形を組み合わせたデジタルプリント。


壁紙:Rene
メタリックと凹凸感のあるエンボス加工で表現したぼかしストライプ。
カーテン&張地:Rondure
草の上にうつる木々や葉の間から差し込むまだらな光を表現。

ファブリックと壁紙に加え、組み合わせてお使いいただける椅子張りのコレクション『QUADRIC』もございますので、
トータルでコーディネートしていただけます。

張地:Grafik
まだらに複数の色が組み合わさった幾何学柄。

建築的な要素をインテリアに取り入れるのは、昨今トレンドのひとつにもなっております。
モダンで遊び心のあるコレクション『ENTITY』をご参考にされてはいかがでしょうか。

【The Story】vol.2 ニナ・キャンベル

2017.10.30 / tokyo

マナトレーディングでは、30を超える数の海外ブランドを取り扱っております。
そのなかには世界的に有名なデザイナーや建築家が携わっていることをご存知でしょうか?

9月より6回にわたり毎回1人の人物を取り上げ、ブランドにまつわるストーリーをご紹介しているシリーズ。
第2回は東京ショールームよりこちらの女性をご紹介いたします。


彼女の名前はNina Campbell (ニナ・キャンベル)。
現代の英国スタイルを代表するデザイナーとして世界中で活躍をする彼女に、
ロンドンのヴィクトリア&アルバート美術館の評議員は敬意をこめて、
「世界的に最もスタイルに影響を与えた女性」の称号を与えました。

 
2013年『BRAEMAR』コレクション
          2013年『ROSSLYN』コレクション

ニナのデザインは、エレガントかつ軽やかな華やかさがあります。
そのデザインレシピはクラシックな建築様式や伝統装飾など膨大な知識量に基づいたスマートな感性と、
彼女がこれまで旅した世界中の美しい風景や動植物たちから受けたインスピレーション。
そして隠し味には彼女ならではのウィットなエッセンスがひとさじ。

そこから生み出される独自の色彩とモチーフはもちろん、彼女のデザインが世界中で愛されているのは、
女性らしいロマンチックさなのかもしれません。

それではこれまでの作品と共に彼女の経歴をご紹介しましょう。

My Favorite Things 1. ― スコットランドの思い出 ―

1945年、ニナ・キャンベルはイギリスの名門氏族キャンベル家の令嬢として誕生します。
幼少期を過ごしたスコットランドは、ニナに多くのインスピレーションを与えました。
冒頭でもご紹介した2013年発表のコレクション『BRAEMAR』『ROSSLYN』に込められているのは、
湖畔にある古城、渓谷を彩る季節の花々、邸宅のあるロマン地区でのパーティやピクニックの思い出。

 
『ROSSLYN』コレクション            『BRAEMAR』コレクション

揺れる木漏れ日や、森に漂う花の香りまで感じられるようです。

2015年に発表した『FONTIBRE』では彼女の叔父であり水彩画家でもあった
キートリー中尉の作品をオマージュした壁紙「Keightlys Folio」をデザインしています。

『FONTIBRE』コレクション


My Favorite Things 2. ― 幸せな空間を分かちあうこと ―

ヒースフィールド女学院を卒業後、19歳でイギリスでも最古参のデザイン事務所
Sybil & Colefaxに就職したニナは、そこで才能を開花させます。

彼女のそこでの主なプロジェクトは個人邸は勿論、歴史的価値のあるお城、
クラシックなカントリーハウスやホテルのインテリアデザインでした。

countryside hotel (30 Best Interior Design Projects by Nina Campbell より)

これらのプロジェクトで高い評価を得たニナは1974年独立、デザイン事務所を開設すると共に、
インテリアファブリックと壁紙のデザインを手がけていくことになります。

まずニナが手がけたのは自分の家でした。
彼女は自らの家をモデルハウスに、完璧にコーディネートと大切なものに囲まれた空間が、
人生にとって如何にかけがえの無いものかを表現していきます。

chelsea townhouse (30 Best Interior Design Projects by Nina Campbell より)

ニナが大切にしていることは、
「プライベートな空間が、その人にとって常に至福をもらたす空間でなければならないこと。」
住居をコーディネートするとき、彼女はクライアントとの親交に多くの時間を費やします。
それはクライアントのライフスタイル、大切なもの、普遍的な信念などのパーソナルを掌握することで、
彼らが世界中のどこに住もうとも、彼らにとって最上の空間を創造することができるとの確信があるからです。


chelsea galleries bedroom (30 Best Interior Design Projects by Nina Campbell より)

クライアントの個性を引きだし唯一無二の空間を作り上げる彼女の仕事は、やがて世界中から注目されるようになり、
彼女の元には常に世界中からコーディネートの依頼が舞い込みます。
イングランドに建てられた初の王室邸宅のデコレーターに選ばれたことをはじめ、
ヨルダン王室や、リンゴ・スター、ロッド・スチュアートなどの著名人もクライアントの一人です。

又、ホテルのデザインでは、ロンドンのサボイ・ホテル、ル・パルク・ヴィクトル・ユゴーや
ホテル・ド・ヴィニーといったラグジュアリーホテルのデザインでも成功を収めています。

country house hotel (30 Best Interior Design Projects by Nina Campbell より)

旅先においても、まるで自宅にいるような快適なプライベートを演出するホテルは、
様々な人々の生活に寄り添ってきたニナの真骨頂に触れられる場ともいえるでしょう。

My Favorite Things 3. ― 旅の思い出 ―

世界中を飛び回り、クライアント達との時間を過ごす中で彼女を魅了したのは、
旅先で訪れた建造物や初めて出会った動植物たちでした。

中でもとりわけ東洋のレリーフや、陶磁器に描かれる花々をモチーフにしたシノワズリテイストは、
ニナのコレクションでも度々目にすることができます。
 
2014年『CATHAY』コレクション           2010年『PARADISO』コレクション

その他にも世界各国のトラディショナルなデザインをニナのレシピでアレンジすると、
こんなにも表情豊かな空間が広がります。


2015年『FONTIBRE』コレクション
ジブラルタルで出会ったやんちゃなお猿さんは上品なトワレ柄に。

 
2012年『TALARA』コレクション
こちらのコレクションはペルーの古代アンデス文明からインスピレーションを得たもの。
アンデスの伝統的な織物のパターンをリズミカルなストライプに落とし込んだデザインがアクセントになっています。

そして昨年のコレクションではインド織物やヒンドゥ寺院のアーチが
現代的なカラーパレットとパターンで再現されています。
 
2016年『COROMANDEL』コレクション

コーディネートのし易さも考えられているのがニナのデザイン。
毎コレクションごとにインテリアのメインとなるデザインを中心に、
同色展開の幾何学柄や無地がバランスよく展開されています。

ファブリック・壁紙・家具にテーブルウェア・インテリアをトータルでコーディネートすることの
重要性を誰よりも理解しているニナだからこそ、
彼女のデザインは美しいだけでなく非常に実用性も備えているといえるのです。


2009年 『SYLVANA』コレクション

そして現在、
ファブリックと壁紙はOsborne & Little社に帰属しますが、
ニナは旅先で見つけたアンティークや自らデザインしたテーブルウェア、
家具をコレクトした自身のショップもオープンしています。
ロンドンのウォルトンストリートにある彼女のお店は30年以上も絶大な人気を誇っているそう。
ロンドンへお出かけの際は、是非ショッピングリストに加えてみては…?


Nina Campbell Shop HPより(※弊社での取り扱いはございません。)


My Favorite Things 4. ― 創造することの喜び ―

そんなニナも御年72歳。
パワフルな彼女の躍進劇はまだまだ続きます。

今年、イギリスで最も有名なインテリア雑誌『HOMES & GARDENS』のファブリックアワードにて、
ニナの最新作『LES RÊVES』コレクションが大賞を受賞しました。

20世紀を代表する画家アンリ・マティスの色彩への情熱と
ニナのインテリアデザインへの追求が共鳴した今作は、マティスの絵画のようなパステルカラーに、
とりわけニナの大好きなブルーとピンクをメインカラーに据えた、
ワクワクする色使いのコレクションとなりました。


2017年『LES RÊVES』コレクション

ニナのコレクションはいつも美しい色彩と、何よりデザインをすることへの喜びに溢れています。

彼女の創作意欲は衰えることを知りません。
もっとニナの事を知りたくなったら、ぜひ彼女のインスタグラムをご覧ください。
彼女のエネルギーの源を知ることが出来るかもしれませんよ。


My Favorite Things ― あなたのお気に入りは? ―

愛用のポットに、子供の頃に憧れたスコットランドの古城、南国の陽気なお猿さん。
旅先の骨董店で一目惚れした清朝家具に、インドの露店のタペストリー、
そして画家だった叔父の残した絵画たち・・・。

彼女のコレクションを見ることは、その美しく彩られた記憶を覗きみること。

ニナの愛おしい思い出がつまったデザインに、自らの記憶を重ねるとき
それはあなたにとっての、新たなお気に入りのひとつになる可能性を秘めています。

ぜひあなたのお気に入りを見つけに来てくださいね。

Nina Campbell  Instagramより

 

【The Story】vol.1 ウィリアム・モリス

模様替え

2017.10.19 / osaka

 

10月になり、海外ブランドの秋冬コレクションが続々と入荷してきました。
ショールームのディスプレイも少しずつ模様替えを始めています。

壁紙コーナーの壁紙をNina Campbell(ニナ・キャンベル)
MATTHEW WILLIAMSON(マシュー・ウィリアムソン)の新作に貼り替えました。

■Nina Campbell

2017コレクション『LES REVÉS』

フランス語で「夢」と名付けられた今回のコレクションは、
20世紀を代表する画家、アンリ・マティスよりインスピレーションを受けて作られました。
マティスが陶器の絵付けもしていたことに由来したポットのデザインなど、
ニナ・キャンベルらしいソフトな色づかいで表現された温かみのあるデザインが揃っています。




珊瑚、ダッグエッグブルー、インディゴ、ビターチョコレートをメインとした色展開で、
同名の生地のコレクションとも組み合わせてお使いいただけます。

■MATTHEW WILLIAMSON


2017コレクション『BELVOIR』

マシューと親交のある英国の貴族、ラトランド公爵の家「ベルヴォア城」をテーマに作られたコレクション。
大邸宅にある美しい調度品をイメージさせるような華やかなデザインは、どれもうっとりと眺めたくなるような美しさです。
こちらのコレクションについては名古屋ブログで詳しくご紹介していますので、ぜひご覧ください。

ソファーコーナーの張地も張り替えました。
BLACK edition(ブラック・エディション)

アームチェア:Herbaria 9040-03
2人掛けソファ:Erbusco 9037-02

今年の春夏コレクション『HERBARIA』より生地をセレクトしました。
デジタルプリントで表現された花柄のベルベットは、今年のトレンドのひとつ。
アートのように空間を華やかに彩ります。

ソファに張った生地は、近くで見ると実はダマスク柄のエンボス加工がされています。

クラシックな柄ですが、光沢感があるのでモダンな空間に合わせていただいても素敵です。


ちなみにこちらが張り替え前です。
同じソファでもこんなにも雰囲気を変えていただけるので、お部屋のイメージチェンジに張り替えをご検討されたい方は、ぜひショールームにてご相談くださいね。

今月中にはソファコーナーの横に、ブラック・エディションのカーテンとクッションのディスプレイも加わる予定です。
どうぞお楽しみに。

新しい壁紙

2017.10.19 / nagoya

壁紙コーナーの壁紙を貼り替えました!



MATTHEW WILLIAMSON(マシュー・ウィリアムソン)2017秋冬コレクション『BELVOIR』から5つのデザインをセレクト。

左から、
Ceramica W7140-02
Orangery W7141-01
Lyrebird W7143-05
Sirius W7144-08
Fanfare W7146-04

コレクションのタイトルにもなっている『BELVOIR』は、イギリス北部にある古くから受け継がれている貴族の邸宅、ベルヴォア城にちなんで名づけられました。この大邸宅がこのコレクションのインスピレーションとなっています。

真ん中に位置する「Lyrebird」は長い尻尾をもつ優雅なコトドリがあしらわれ、実際にマシュー自身のファッションコレクションのシルクプリントされたスカーフのデザインが基になっているそうです。

そして冒頭の見本帳の表紙にもなっている「Ceramica」は、ベルヴォア城を訪れた際、古くからこの家にある磁器製のお皿に感動したマシューが、ロンドンのアンティークマーケットで調達したお皿を一枚ずつ撮影し、そこに彼の代名詞ともいえるモチーフを描き加えたり、色を甦らせたりしてカスタマイズしたお皿たちがプリントされたものなのです。



いつもどこかで登場するヒョウやトラのモチーフも今回はこんなところにさりげなく(笑)!

お皿のない余白の部分には、あなたのお気に入りのお皿を飾ることが出来るように・・・と、そんな粋な計らいなのだそうです。

このコレクションは同じタイトルで生地もご用意しています。ぜひ壁紙と一緒に生地の見本帳もご覧くださいませ。『BELVOIR』の世界観がグッと広がります。

昨日までの壁紙コーナーは2017年春夏コレクションのOSBORNE&LITTLE(オズボーン&リトル)、『ENCHANTED GARDENS』コレクションでした。

ちなみに一番左の壁紙は普段はずっとオズボーンの壁紙の後ろに隠れていましたので、この機会にお披露目させてください。

裏一面には2016年のマシューのコレクション『DURBAR』より「Aravali」W6955-02が貼ってありました。

もし名古屋ショールームへお越しの際は、今回はどんな壁紙に貼り替えられているのかマシューの後ろものぞいてみてくださいね。またガラリと変身していますよ。

【The Story】vol.1 ウィリアム・モリス

2017.09.29 / osaka

マナトレーディングでは、30を超える数の海外ブランドを取り扱っております。
そのなかには世界的に有名なデザイナーや建築家が携わっていることをご存知でしょうか?
これから6回にわたり毎回1人の人物を取り上げ、ブランドにまつわるストーリーをご紹介してまいります。
東京・名古屋・大阪のショールームブログより
月に1話ずつの更新を予定しておりますので、どうぞ楽しみにお待ちください。

第1回目の人物は、
日本でも有名な「William Morris(ウィリアム・モリス)」です。

モリスは非常に豊かな才能の持ち主で、多才な顔を持っていました。
詩人、作家、画家、デザイナー、社会主義者など、多くの分野で才能とセンスを発揮し、
特にデザインの分野では「モダンデザインの父」「アーツ&クラフツの創設者」と称されています。

その魅力はとても一度では語りつくせないほど。今回はデザイナーとしてのモリスに注目し、
デザインに目覚めたきっかけからモリス商会を設立するまでのストーリーにスポットを当ててご紹介してまいります。

1834年、イギリスの裕福な家庭に生まれたモリスは、幼少期は自宅の広大な庭園と森で多くの時間を過ごしました。
そこで触れ合った自然の草花や鳥たちは、モリスのデザインの源流となりました。

19歳になったモリスは、聖職者を志してオックスフォード大学に入学します。
そこで生涯の友人となる、エドワード・バーン=ジョーンズと出会ったことが
モリスの運命を大きく変えるきっかけとなりました。
彼とゴシック建築の教会や中世の思想を学ぶうちに、美術や建築に目覚めたモリスは、彼とともに芸術を志すようになるのです。

そして彼とロンドンで共同生活を送りながら画家を目指していたとき、さらなる運命の出会いを果たします。
ラファエル前派(※1)の芸術家グループでモデルをしていた、ジェーン・バーデンとの出会いです。
彼女の美しくエキゾチック な雰囲気に一目惚れをしたモリスは、周囲の反対を押し切ってプロポーズします。


「麗しのイゾルデ」 モリスが描いたジェーンの油絵

25歳の時にモリスは彼女と結婚し、仲間たちとともに新居「レッドハウス」を建てました。

中世ゴシックを思わせる煉瓦造りの2階建てのこの家は、
親友の建築家フィリップ・ウェップが設計し、モリスたちはステンドグラス、壁紙、家具や内装、調度品を自分たちでデザインし、一から製作しました。

当時のイギリスは産業革命により、大量生産された粗悪品までが出回っていた時代。
モリスが理想とする、自然の美しさを職人の手で表現したインテリアはありませんでした。
1862年第2回ロンドン万国博覧会で出展品が受賞すると、その内装や調度品はたちまち評判を呼び、これを機にモリスは仲間たちとともにモリス・マーシャル・フォークナー商会を設立。
本格的にデザインの道へと進んでいきます。

商会設立後、最初にデザインした壁紙が「トレリス」「デイジー」「フルーツ」です。


トレリス
レッドハウスの庭にあるバラの垣根を描いたもの。
モリスは意外にも鳥を描くのが得意ではなく、この鳥はウェップが描いています。


デイジー
平面的で規則的に配置された中世風のデザインは、写実的な装飾画が主流だった当時には新鮮でした。
ジェーンが刺繍した同じモチーフの布の壁掛けは、「レッドハウス」の寝室に飾られていました。


フルーツ
ザクロやレモンなど4種類の果実が描かれたもの。よく見ると地にも模様が描かれています。
2層のデザインはモリスの特長のひとつで、この後の作品に多く見られます。

3つの作品は、150年以上経った今も壁紙として現存しており、世界中で愛されています。

人の暮らしの中に美を目指したモリスでしたが、高価で時間のかかる天然染料やハンドプリントにこだわったことで、モリスのデザインは一部の富裕層にしか行き渡りませんでした。
今ではハンドプリントならではの風合いも機械で表現できるようになり、お求めやすい価格で販売されています。

モリスの遺した有名な言葉があります。
役に立たないものや、美しいとは思わないものを家の中に置いてはならない
本当の意味での美とは何か、沢山のものであふれる現代において、何を大切にものを選ぶべきか考えさせられる一言です。

今回ご紹介したのはモリスの功績のほんの一部ですが、
モリスという人物やデザインに少しでも興味を持っていただけましたら嬉しく思います。

次回は東京ショールームブログより「ニナ・キャンベル」編をお送りします。
どうぞお楽しみに。

※1 ラファエロ前派
1848年にイギリスの画家ロセッティーやミレーなどが起こした芸術運動であり、そのグループの名称。
ルネサンス盛期のラファエロ以前の画家を理想として、自然に忠実な観察や輝かしい色彩の使用などを提唱した。

#モリスのある風景 in TOKYO

2017.09.20 / tokyo

Instagramに、「#MANASモリスのある風景」とハッシュタグを付けて写真を投稿しよう!

これは9月1日から始まったInstagram企画です。

弊社メールインフォメーションやinstagramご登録の方へご案内したところ、
早速たくさんの素敵な投稿をいただいております。

一年前に発表された『PURE MORRIS』コレクションをはじめ、
世界中の家庭で150年以上も愛され続けているブランド、MORRIS & Co.(モリス)

貴方の生活の中ではどのように息づいているでしょうか。
ぜひその一場面をご紹介ください。

カーテンや壁紙でなくても、もちろん構いません。
既に投稿いただいた方の中には、
先日のワークショップで作成いただいたランプシェードや、テーブルクロスなど、
ユーザー様のアイディア次第で様々な用途にお使いいただいているようです。

東京ショールームの「#モリスのある風景」は、
昨年代官山で開催しました『PURE MORRIS展』から、
アートパネルとクッションに使用した一枚を。

そしてもう一枚は、裁縫の得意なスタッフがPure Sunflower の生地で
仕立てたワイドパンツや日傘を投稿してみました!

こちらは弊社のInstagramに掲載していますので、覗いてみてくださいね。
≪マナトレーディング公式Instagram :https://www.instagram.com/manas.trading/

応募期間は2017.10.31(火)まで。
ご投稿いただいた方の中から合計6名様に
『MORRIS&Co.』もしくは『PURE MORRIS』のクッションをプレゼントさせていただきます。

また素敵なお写真はブログ内でもご紹介させていただく予定です。
キャンペーン詳細はコチラをご覧ください。

それでは、皆様のご投稿を楽しみにお待ちしております!